-ベテランの経験を『会社の資産』に変える方法-
現場を持つ経営者の方とお話ししていると、こんな声をよく耳にします。
「ベテランがいない日は品質が安定しない」
「新人に任せたいが、同じミスが何度も起きる」
「属人化が原因だと分かっているのに、どこから手を付ければいいのか……」
製造業の現場に共通するのは、『ベテランの頭の中にだけあるノウハウ』に依存してしまう構造です。
短期的には現場が回りますが、この依存が続くと、品質も育成も成長も頭打ちになります。
この記事では、「属人化の壁」をどう乗り越え、経験を『仕組み』に変えることにより、再び企業が伸びしろをつくる視点を整理します。
属人化は「悪」ではない。
大事なのは『どう残すか』
まず大切なことは、属人化そのものが悪ではないということ。
むしろ、熟練者が積み上げてきた暗黙知は、会社の財産です。
問題なのは、そのノウハウが、
- 人の頭の中に閉じたまま
- 再現性がなく
- 新人に伝わらず
- ベテラン1人に依存した状態
で残ってしまうこと。
つまり属人化は「消す」ものではなく、
『未来のために受け継ぐしくみ』に変えるべきものなのです。
経験を仕組みに変える最初のステップ
ベテランへの「質問リスト」
属人化解消の第一歩は、「難しくないこと」から始めるのがポイントです。
最初は、現場の事実を淡々と見える化すること。
その際、ベテランに次の5つを聞くだけでも大きく前進します。
- 作業の順番
どの工程から、どの順番でやるのか? - 判断基準(OK/NG の境目)
どこまでが許容で、どこからが不良か? - 注意すべきポイント
ミスが出やすい箇所、過去の失敗の傾向は? - 作業で使う感覚
「この音になったら」「この温度なら良い」など、感覚に基づく判断。 - 問題が起こる典型パターン
トラブル時の対応や再発防止策。
特に重要なのは、
ベテラン自身が『無意識にやっていること』を言語化してもらうこと
です。
本人にとっては当たり前すぎて言葉になっていない。
だからこそ、経営者や第三者が「質問しながら外に出す」必要があるのです。
「仕組み化」には段階がある
文章だけに頼らない
属人化解消で多くの企業が陥る失敗は、
「最初から分厚いマニュアルを作ろうとする」こと。
仕組み化には段階があります。
【仕組み化の3段階】
- 現場の事実を出す(見える化)
- 再現に必要な『判断基準』を明確にする
- 誰でも実行できる形(チェックリスト・型・治具など)に落とし込む
ここでのポイントは、
文章だけに頼らないこと
- 写真
- 図面
- 動画
- チェックリスト
- 『OK例/NG例』の比較写真・図面
こうした『非文章の伝達手段』が加わると、品質のバラつきが一気に減ります。
属人知識を仕組みに変えると何が変わるか?
属人化の壁を越えた企業では、次のような変化がはっきり現れます。
- 品質の安定
- 新人の育成スピードが上がる
- ベテランの負担が減る
- 現場リーダーが育つ
- 新規取引の要求に柔軟に対応できる
そして、最も大きい変化は、
従業員に「任せられる状態」になること
これは会社の成長力そのものです。
属人化の解消は、単なる効率化ではなく、
『企業の持続的な強さ』を回復する投資と考えるべきでしょう。
最後に問いたいこと
「うちの会社は、人が辞めても回るか?」
この問いは、属人化の本質を突くものです。
「あの人がいないと現場が回らない」
この状態が続く限り、品質も育成も、未来も『偶然任せ』になってしまいます。
逆に、
「誰がやっても一定の品質で回る」
という状態を一度つくれれば、会社は確実に強くなります。
属人化の解消は、「システム導入」や「分厚いマニュアル作成」から始まるわけではありません。
もっと小さく、もっと身近なところから始まります。
現場の『当たり前』を一度立ち止まって言葉にしてみること。
作業の順番、注意点、判断基準、トラブル時の典型パターン-
その中には、これまで会社を支えてきた知恵が必ず埋まっています。
さて、あなたの会社では、
属人化を「問題」と見ていますか?
それとも、『経験を未来につなぐ仕組みづくり』のチャンスと捉えていますか?
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