-数字だけでは見えない原価の落とし穴-

「忙しくて売上はあるのに、なぜか利益が出ない」
「コストダウンを指示しても、思うように進まない」
こうした悩みは、多くの中小製造業に共通しています。
決算書や試算表を眺めても、どこに無駄が潜んでいるかが見えない。
そんな経験、ありませんか?
数字だけでは見えない「仕組みの歪み」
原価低減を考えると、つい「材料費を下げる」「残業を減らす」といった直接的な数字に目が向きます。
しかし、利益を圧迫している原因は、受注の仕組みや工程の流れ、部門間の連携といった、数字には現れにくい『会社の仕組みの歪み』にあることが少なくありません。
- 不採算品を受注し続けている
→ 粗利の低い案件が多く、いくら稼働しても利益が積み上がらない
- 段取りや移動が多い工程設計
→ 実作業より段取りに時間を取られ、人件費が膨らむ - 部門間の連携不足
→ 設計変更の情報が現場に遅れ、手直し・再加工が発生する
こうした構造は、数字の上では「製造経費」や「労務費」とひとまとめにされ、原因が見えにくいのです。
原価の「見えない仕組み」を整理した結果
ある板金加工会社では、毎年売上は伸びているのに、利益は横ばい。
社長は「材料費の高騰のせい」と考えていました。
しかし、受注別に粗利を可視化すると、特定の大口取引先からの受注が実は赤字になっていたことが判明。
さらに現場の工程を棚卸しすると、その取引先向け製品は段取り替えが多く、他の案件の効率に影響を及ぼしていたのです。
そこで、受注条件を見直し、段取り改善を同時に実施。
結果、同じ売上でも利益率が大きく改善しました。

利益改善の糸口は「仕組みを可視化すること」
原価改善は「数字を削る」ことではありません。
原価を生み出す構造を見える化することが出発点です。
- 受注案件ごとに粗利を見える化する
- 工程の流れを棚卸しし、段取り・移動の無駄を特定する
- 部門間で情報の流れを図にして、手戻りの発生箇所を見つける
こうした整理を通じて、初めて「どこを変えれば利益につながるか」が見えてきます。
「忙しいのに儲からない」の正体
「利益が出ない」のは、努力や気合いの不足ではなく、会社の仕組みに隠れた歪みがあるからです。
数字に表れた結果だけを見るのではなく、
その裏側にある仕組みを整理・可視化することが利益改善の第一歩です。
「売上はあるのに利益が残らない」と感じているなら、
まずは自社の原価構造を『図に描いてみる』ことから始めてみてください。