―「いい技術ですね」と言われて終わらせないために -

「営業が弱い」と感じている技術系の会社
「うちの技術は他社より優れている」
「でも、なぜか営業でうまく伝わらない」
「見積もりは出せるけど、値下げされて終わってしまう」
こんな悩みを抱える技術系中小製造業は、少なくありません。
営業力が弱いのではありません。
営業の軸となる材料が、整理されていないだけかもしれません。
その軸をつくるのが、実は知財戦略なのです。
営業の話は「論点ずらし」になりやすい
営業現場でよくあるのが、
「それって御社じゃないとできない理由は?」
「他社と比べて、どこが違うの?」
という問いに対して、うまく返せない状況です。
そこでつい、加工精度や納期、対応力を強調してしまいますが、
それは競合も言えること。
「その技術をなぜやっているのか」
「どんな価値を届けるための技術なのか」
これを言葉にできないと、価格競争に巻き込まれるだけです。

知財戦略とは、技術と市場をつなぐ「翻訳装置」
知財戦略というと、
「特許を取る」「商標を守る」という“防衛的”なイメージを持たれがちです。
でも、真の知財戦略は、「技術がもたらす価値」を明確にし、誰にどう届けるかを設計すること。
つまり、技術と市場をつなぐ翻訳の役割を果たします。
たとえば、ある加工技術を
医療分野では「滅菌性を高める」
自動車分野では「軽量化と剛性の両立」
OA機器では「静音性と耐久性のバランス」
と伝え方を変えることで、商談の幅が広がります。
これは、単なる「営業トーク」ではありません。
知財情報に基づいた戦略的なメッセージ設計なのです。

知財を整理して「選ばれる理由」が明確に
ある部品メーカーでは、長年蓄積したノウハウが社内に点在しており、
営業資料も現場の説明も人によってバラバラでした。
そこで、
特許出願内容
社内技術資料
使用してきた素材やプロセスの工夫
を棚卸しし、「技術ストーリー」を再構成。
「うちは、この加工技術を、〇〇の用途に最適化するために10年磨いてきた」という一本筋の通った説明ができるようになり、提案型営業が増加、単価アップも実現しました。
「知財で売れる会社」に
中小企業が勘違いしやすいのが、
「特許を取れば売れるようになる」という発想です。
でも大事なのは、
知財を営業ツールとして使いこなす視点。
✅ 強みを論理的に語れる
✅ 他社との違いを明確に言語化できる
✅ 権利化で技術の信頼性を補強できる
こうした「営業に効く知財」こそが、これからの製造業には求められています。

営業を強くするのは、「言葉にする力」
営業資料の見直しでも、技術パンフレットでも、結局のところ「自社の強みを言葉にできるか」がすべてです。
そして、その言葉の根拠を与えてくれるのが、知財の整理です。
あなたの会社の技術が、なぜ存在しているのか。
誰のために、どんな未来をつくるのか。
これを一緒に言葉にできれば、営業はもっと力強くなります。