「そろそろ来年のことを考えなければならない」
そう思いながらも、白紙のまま時間だけが過ぎていく。
多くの中小製造業の経営者が、この時期に似た感覚を抱えています。
目の前の仕事に追われながら、頭の片隅では「このままでいいのか」という違和感が消えない。
売上や利益の数字は見えている。
設備投資や人材の課題も、だいたい把握している。
それでも、「来年、何を軸に会社を前に進めるのか」が、うまく言葉にならない。
この「定まらなさ」の正体は、能力不足でも、準備不足でもありません。
多くの場合、「戦略を描くための視点」が整理されていないだけなのです。
戦略が定まらない理由は「視点がバラバラ」だから
戦略を考えようとすると、思考は無意識のうちに分断されがちです。
- 営業の視点:「売上をどう伸ばすか」
- 技術の視点:「何を改良・開発するか」
- 経営の視点:「コストや人の問題をどうするか」
どれも正しい視点です。
しかし、共通の軸がないまま積み上げると、戦略は単なる「寄せ集め」になってしまいます。
結果として、
「やることは多いのに、どこに向かっているのか分からない」
そんな状態に陥りやすくなります。
ここで有効になるのが、「知財」を経営の軸に据えるという考え方です。
「知財」とは、特許のことだけではありません
「うちは特許なんて持っていないから関係ない」
そう感じる方も少なくないでしょう。
しかし、本記事でいう知財とは、特許や商標といった「権利そのもの」だけを指しているわけではありません。
御社が長年にわたって積み上げてきた、
- 技術
- ノウハウ
- 設計思想
- 現場で培われた工夫や判断力
これらすべてが含まれます。
例えば、
なぜ、その加工精度が安定して出せるのか。
なぜ、その品質を当たり前のように維持できているのか。
なぜ、特定の顧客から長く選ばれ続けてきたのか。
普段は意識しないこれらの理由こそが、他社が簡単に真似できない「知的資産」です。
知財を軸に据えるということは、
「価格競争に巻き込まれず、利益を確保できる理由」を自分たちの言葉で説明できるようにすることでもあります。
成長戦略を「3つの層」で整理する
知財を軸にした成長戦略は、次の3つの層で考えると整理しやすくなります。
① 技術の層:何が「強み」なのかを言語化する
まずは、自社の技術やノウハウを冷静に棚卸しします。
- 他社と比べて優位性がある点はどこか
- 現場では当たり前だが、実は希少なことは何か
- 特定の人や工程に依存している「暗黙知」は何か
ここで重要なのは、「すごそうな技術」を並べることではありません。
顧客にとって価値を生み、対価につながっている強みは何かを見極めることです。
② 市場の層:その強みは、どこで「利益」になるのか
次に、その知財が最も高く評価される場面を考えます。
- 今の顧客の「別の困りごと」に使えないか
- 似た課題を持つ他業界はないか
- 価格以外の理由で評価される場面はどこか
市場を広げるとは、新規顧客を増やすことだけではありません。
価値の出しどころを少し変えるだけで、利益率が大きく変わることもあります。
③ 経営の層:そのために「何をやらないか」を決める
最後は、経営としての意思決定です。
- 来年、リソースを集中すべきテーマは何か
- 逆に、利益を圧迫している「やらないこと」は何か
- 人・時間・投資をどこに配分するのか
知財という軸があれば、「断る基準」が明確になります。
その基準があるからこそ、戦略はブレにくくなり、社内外に説明できる形になります。
戦略とは、未来の正解を当てることではない
「戦略を立てる=正解を決めなければならない」
そう思うと、手が止まってしまいます。
しかし本来、戦略とは
- 何を軸に考えるのか
- 何を判断基準にするのか
を明確にする行為です。
知財を軸に据えることで、
現場との会話は噛み合いやすくなり、組織は同じ方向を向きやすくなります。
来年に向けて、まず踏み出す一歩
いきなり完成度の高い戦略図を描く必要はありません。
まずは、次の問いを自分に投げかけてみてください。
「うちの会社が、これからも選ばれ続ける理由は何だろうか?」
この問いに向き合うこと自体が、
すでに「知財を軸にした成長戦略」の第一歩です。
来年に向けた準備は、数字の計算からではなく、
自社の強みをどう活かすかという構造整理から始まります。
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