-「良い技術ですね」で終わらせないために -

◆ 「いいですね」と言われたのに、なぜ売れない?
「それ、すごい技術ですね。」ー 展示会や営業先で、こう言われたことはありませんか?
でもその後、「検討します」と言われて終わる。
そのまま音沙汰なし――。
これは、あなたの会社の技術が悪いのではなく、
伝わり方に“もったいなさ”があるだけかもしれません。
◆ 技術を“魅せる”工夫が、営業力になる
営業が強くなるとは、口がうまくなることではありません。
「伝わる仕組み」を持っているかどうかです。
特に中小製造業では、営業=現場任せになりがち。
でも、伝わり方に一本筋が通れば、担当者の経験やセンスに依存せず、「自社の技術」が語れるようになります。

◆ なぜ「伝え方」で結果が変わるのか?
そもそも技術は、専門的で説明が難しい。
そのため、多くの中小企業では:
✔ 加工精度や材質ばかりを語る
✔ 競合との違いを曖昧のまましている
✔ 顧客の立場を想定していない
といったことがおきます。
その結果、「強み」が伝わらず、価格競争に巻き込まれてしまいます。

◆ 伝え方を変える3つの視点
① “誰に”伝えるのかを明確にする
⇒ エンジニア?調達担当?経営者?
相手によって、響く言葉は違います。
② “何を”伝えるのかを整理する
⇒ 技術そのものではなく、「技術がもたらす価値」を語る。
例:「高精度」ではなく「装置全体の歩留まりが向上」
③ “どう伝えるか”を仕組みにする
⇒ 社内で説明の統一フォーマットをつくる。
パンフレット、Web、提案書のトーンを揃える。
◆ 実例:言葉を整えただけで反応が変わった
ある金属加工業の経営者は、「技術には自信があるのに、お客さんに伝わらない」と悩んでいました。

そこで、加工の特徴を「性能データ(精度や耐久性など)」と「実際の使われ方(どんな製品のどの部分に使われているか)」に分けて整理し、「どんな課題をもつ人にどう役立つか」を言語化し、営業資料に反映させることにしました。
その結果、営業資料を見たお客様から、これまでとはまったく違う反応が返ってくるようになりました。
「まさに、こういう加工をしてくれる会社を探していたんです。」
そんな言葉をいただくことが増え、従来は価格比較で終わっていた商談が、技術の価値そのものに注目してもらえるようになったのです。
◆ 営業が苦手な会社ほど、技術を言葉にする力を
支援では技術そのものよりも、「なぜその技術にこだわっているのか」という“想い(自社らしさ)”を丁寧に聞きます。
”自社らしさ”くを整理できると、不思議なほど営業の迷いが減り、社員が自信を持って説明できるようになります。
なぜなら、自社の“らしさ”を言葉にできた瞬間、営業や提案に“芯”が通り、どんな相手にも自信を持って語れるようになるからです。
◆ 最後に:営業は「売ること」ではなく「伝えること」から始まる
「うちは営業が弱いから…」という声をよく聞きます。
でも、営業を強くするには、まず“技術を魅せる力”を育てることが近道です。
それは、決して特別なスキルではありません。
「うちの良さって、なんだろう?」と自問し、それを“伝わる言葉”に翻訳することです。
皆さんの会社でも「自社の技術が選ばれる理由」を見つけていきませんか?