
「うちにも経営理念はあるけれど…」
「うちにも経営理念はあるけれど、日々の仕事には関係ない」
そんな声をよく耳にします。
実際、立派な額に入れて応接室に飾られているのに、現場や営業ではまったく意識されていない会社も少なくありません。
これは単に「理念を忘れている」のではなく、理念と現場の行動がつながっていない状態です。
理念が「絵に描いた餅」になる3つの理由
- つくった時だけ盛り上がって終わる
理念策定の場では熱く語られても、その後の社内共有や振り返りがなく、時間とともに忘れられてしまう。 - 具体的な行動に落とし込まれていない
「顧客第一主義」「品質で信頼を得る」といった理念は立派でも、それを日々の判断や行動にどう結びつけるのかが示されていない。 - 経営層と現場の間で意味がずれている
経営者は「理念=会社の進む方向」だと思っていても、現場では「掲げているだけの言葉」と受け取られている。

理念を「現場で生きる言葉」にするには
理念を活かすには、現場の行動や判断基準にまで翻訳することが必要です。
ステップ1:理念を日常業務の言葉に置き換える
例:「品質で信頼を得る」⇒「図面通りの寸法精度を維持し、不具合ゼロで出荷する」
ステップ2:行動の確認ポイントをつくる
例:月次会議で「今月、理念に沿った行動や判断はあったか」を振り返る
ステップ3:成果と理念を結びつけて伝える
例:新規取引の受注理由が「品質対応への安心感」だった場合、それが理念の実践結果であることを社内で共有する
事例:理念が営業力に直結した機械部品メーカー
ある機械部品メーカーでは、「困った時に一番に相談される存在になる」という理念を掲げています。
これを日常業務に落とし込み、「問い合わせには当日中に一次回答する」という行動ルールを設定。
その結果、顧客からの信頼が厚くなり、新規案件の紹介が増加。
理念が営業活動の差別化ポイントとして機能するようになりました。
まとめ
経営理念は、掲げるだけでは価値を生みません。
理念 → 行動 → 成果というつながりがあってこそ、「絵に描いた餅」が実際に食べられる餅になります。
理念を活かす第一歩は、「現場の行動に置き換えること」。
それができれば、理念は社内を動かす力にも、外部への強いメッセージにもなります。
